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一方その頃、潰れた研究所の下では。
「きゃああああああああ」
「ぴええええええええエ」
「我ながらこれは長すぎたかのおおおお」
各々好き勝手に叫びながらぴゅーっと長い滑り台を降りる。合い言葉と同時に押したボタンはこの避難滑り台を出現させるためだった。
「きゃっ」
「ぴえっ」
「おおっ」
ぴょこっぴょこっぴょこっ、と降り立った先は地下通路だった。博士、助手くん、助手くんに抱えられたカワウソ黒鍵キーは何とか研究所からの脱出に成功したのだ。
「どういうことですか? これは核戦争のときに発動させる予定だったシェルターでは?」
暗い道をカワウソ黒鍵キーの目のライトを頼りに歩き出す。
「いいや、それもあったけど本当は研究所を狙うテロリストから身を守るためのシェルターさ。さっきの刑事がここを取り囲んでいるテロリストの首だよ」
「そんな、じゃあ署長さんは――」
研究所を贔屓にしていた署長が危ない、と助手くんは目を泳がせる。
「行こう」
助手くんからカワウソ黒鍵キーを優しく取り上げ、ぐんぐん進む。はい、と返事をしていつになく頼もしい博士に助手くんは喜んで付いていった。
しばらく歩くと開けた場所が見えてくる。
「博士、誰かいます!」
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