博士と不思議な道具たち

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 敵かも、と助手くんが息を潜めると大柄な後ろ姿がこちらをゆっくり振り返った。 「よっ」 「しょ、署長さん?!」  大柄な人影は博士と懇意にしていた署長だった。なんでもいざというときのために場所を教えていたらしい。 「はっはっは、お先に来てしまったよ。博士の作った【フタリメ・ノ・オレ】を置いてね」  フタリメ・ノ・オレとは要するにコピー人形だ。しかし起動する前準備が大変でなかなかヒットしなかった。 「ってことは爪や髪を300グラムも集めたんですか?」  助手くんは目を丸くした。 「500グラムだよ」 「集めたこともだけど設定に狂気を感じる……」  唾液じゃダメだったんですか、と博士に問えば「なんとなく嫌だろう」と曖昧な嫌悪が伝わってくる。その目は自身に向けてくれと助手くんはため息をつく。 「それより助手くん、あの箱に入ってみたまえ」  発生が指差す先にはスポーツジムのロッカーを横にしたような長い箱形の装置が二つ並んでいた。 「え! か、棺桶ですか?」 「いやいや、【ソノウチミツカール三世】だよ」 「はい?!」 「ん、カワウソ黒鍵キーも一緒にね」  ほらほらと急かされて(つまづ)き、助手くんはあっさり箱詰めされてしまう。 「博士、博士!」 「私もすぐに行くから、いい子にしているんだよ」  せめて説明を、という懇願むなしくがちゃりと蓋を閉められてしまった。 「うっわ、暗っ」  ウィィンと妙な機械音がソノウチミツカール三世を取り囲むように聞こえてくる。徐々に内部が光りはじめ、ソノウチミツカール三世はどんと自立する。 「へ?」 「ファイブ、フォー、スリー……」  カウントダウンが始まった。ゴゴゴと地鳴りが聞こえ、助手くんとカワウソ黒鍵キーは抱き合い震える。 「ツー、ワン」  きっと上の地面を突き破って脱出するんだ、と助手くんが覚悟を決めたときカウントダウンは「ゼロ」になる。 「チン、下ヘ参リマス」 「そっちいいいいいい?!」  ドドドとすごい勢いで地面を掘り始め、ソノウチミツカール三世は奥深く地下に潜っていった。 「ぎょわああ」 「ぴええええエ」
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