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僕は今コンパスを手に宝物を探している
帽子を被り、木の棒を杖代わりに……
気持ちはそう…まるで探検家だ
「よぉ~し!頑張って宝物を探すぞ!!」
意気揚々と歩きだす
コンパスの方角を頼りに見つけるんだ
コンパスは北を向いている
真っ直ぐに進もう
しばらく進むと、公園が見えてきた
いつも友達と遊んでいるんだ
ブランコに滑り台、鉄棒
遊んでいきたいけど駄目だ!
今は宝物探しをしているからな
再びコンパスに眼をやれば針は東を向いている
僕は右折してまた歩きだした
すると見えてきたぞ
ここに宝物があるんだ
ここまで大変だった
公園で遊びたいという誘惑に打ち勝ち
たどり着いたんだ
僕は一歩、一歩ゆっくりと地を踏みしめる
「なにしてんの?」
母に声をかけられた
「お兄ちゃん、お帰りぃ~!」
妹が笑顔でそう言った
見つけたぞ
どんな宝石や鉱石よりも貴重で
僕がこの世で一番大切にしている宝物
僕は蒸れた帽子を取り、
夕日の光に眼を細めながら、
笑顔で言った
「ただいま!」
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