ep.10 ワーカーホリックに愛を囁けば

13/13
419人が本棚に入れています
本棚に追加
/146ページ
 昏がそれを遮るように、間に立つ。 「……もうフラれたよね? 当て馬の出番は終わりだよ?」 「……当て馬だったら確かにここで残念、無念、さようなら、だろーけど。……仕事では絶対、深沢に負ける気しねぇしな……、俺が会社でも作れば、話は別か……。恋愛ばっかりにうつつぬかすようじゃ、男としてつまんねぇよな?」 「……僕はそこまで恋愛脳じゃないよ」 「でも、男としてはぼんやりしてるよなぁ……」  向き合う紫崎と昏を置き去りにして、海李子は逃げるようにゆゆはと一緒に婚活アドバイザーの控え室に向かう。 「え、せんぱい、ほっといてもいいんですか?」 「いいです。あの二人は仲良しなので、そっとしておきましょう」 「ミーコ」 「みーこ」  紫崎と昏に呼び止められ、海李子はゆっくりと振り返る。 「僕の方が好きだから」 「俺の方が好きだ」  無表情の海李子の顔が朱色に染まる。  隣のゆゆはは吹き出したように笑う。  小学生みたいですね、と小声で海李子は囁かれ、首を振った。 「〜〜〜ーーー、ここは職場です。仕事をしてくださいっ!」 ーENDー
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!