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昏がそれを遮るように、間に立つ。
「……もうフラれたよね? 当て馬の出番は終わりだよ?」
「……当て馬だったら確かにここで残念、無念、さようなら、だろーけど。……仕事では絶対、深沢に負ける気しねぇしな……、俺が会社でも作れば、話は別か……。恋愛ばっかりにうつつぬかすようじゃ、男としてつまんねぇよな?」
「……僕はそこまで恋愛脳じゃないよ」
「でも、男としてはぼんやりしてるよなぁ……」
向き合う紫崎と昏を置き去りにして、海李子は逃げるようにゆゆはと一緒に婚活アドバイザーの控え室に向かう。
「え、せんぱい、ほっといてもいいんですか?」
「いいです。あの二人は仲良しなので、そっとしておきましょう」
「ミーコ」
「みーこ」
紫崎と昏に呼び止められ、海李子はゆっくりと振り返る。
「僕の方が好きだから」
「俺の方が好きだ」
無表情の海李子の顔が朱色に染まる。
隣のゆゆはは吹き出したように笑う。
小学生みたいですね、と小声で海李子は囁かれ、首を振った。
「〜〜〜ーーー、ここは職場です。仕事をしてくださいっ!」
ーENDー
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