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「警戒……はしません。深沢くんの名前と顔は知っています」
「知っててくれて良かった。……宅飲みもいいけど、近くにオススメの創作居酒屋があるよ。社宅の人が来ても、全席個室だから顔は分からない。……どう?」
断ってくれてもいいよ、と笑顔で選択肢を渡された。
「……これ冷やしてきます」
草食系で穏やかな深沢は、社内での評価が高く、彼に対して悪いイメージを持っていなかった。そもそも、深くを知るほど、彼と話をしたことはない。同期の飲み会に誘われない海李子にとって、深沢は挨拶をしてくれる癒し系という印象だった。
海李子は自室に買ってきたものを片付け、社宅のロビーに降りた。
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