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昏は極端なその考えに、思案を巡らせる。
「……ちなみに僕の次は?」
「紫崎くんにお願いしようと思っています。……色気のない私と違って、彼は女の子に慣れています。荻原さんもすぐ夢中になってしまいましたし、……一晩だけなら、受け入れてくれるかもしれません」
確かに、大学時代も今も紫崎は女性関係が派手だ。爽やかさを生かした外見とさっぱりとした喋り方。頭の回転も早いため、女性を飽きさせない会話も得意だ。女に不自由はしていない。ただ、真剣に長く付き合う相手は、居たことがない。
大体、紫崎との別れ際、女の子は恨み言を言うか、殴るか、暴言を吐くか、次のセフレと喧嘩をしているかのどれかに当てはまる。
何を言えば傷つけずに済むのかと昏が黙ると、その沈黙を、拒否されたと感じ、捨てられた猫のようにロボ子はしょんぼりと口を開いた。
「女らしさのかけらもない私にそんなことを言われても困りますよね……、だって、ロボ子ですし……」
「……、いや、倉持さんは魅力的だよ?」
さっきまで我慢していた言葉を口にする。
「無表情で仕事をするのは真剣に取り組んでいる証だし、もう少し笑ったらいいのになと思っていたけど、その、愛想を振りまくのは仕事のスタンスとは違うかもしれないし、その……、あ〜」
―――キャラとしては面白いけど、女としてはないよなぁ。
ふいによぎったのは紫崎が言った心ない言葉。
「あ〜、僕は女として見れる。し、可愛いと思った」
というか、今はがっつり見てるよ。
そのギャップがけっこーツボなんだよなぁ、って、いきなりこっちからいくと驚かせてしまうかもしれない。
疑似恋愛ではなく、職場恋愛としてゆっくり始めよう?
そう、昏は言おうとした。
だが、ロボ子はその気遣いを全力で振り切った。
「深沢くん……、私の部屋で続きをお話しましょう」
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