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「ええ!?熊に?酷いこと言うね」
「あはは酷いか?なら雅史、お前が梨香子を襲って妊娠させろよ。そして責任とって結婚しろ。ご褒美に結婚資金ぐらいオヤジに頼んで援助するぜ」
「全くさっきから何を言ってるんだよ!!そんな事よりもこのデカイシャベルを持つのを交代して欲しいんだけど!」
「..........おい!雅史。今のは何だ?俺にそういう舐めた口叩くなんていい度胸だな。お前ん家の工場に今後一切仕事を回さないようにオヤジに頼んでいいのか?」
「.....ごめん。許してくれ」
「そうそう。雅史はそうやって大人しく俺様の機嫌をとっていればいいんだ。今夜だってそのシャベルでさっさとサトルの骨を掘り起こして回収しろよな。明日は熱い合コンなんだから俺は早く帰りたいんだよ」
「わかったよ........あ、悠聖くん。その木の右の方に進んでくれる?」
「バーカ。どの木だよ。そんな事言っても周りは同じ様な木ばかりじゃねぇか。ライトで照らして教えろよ。..........オッケー、この腰が曲がった婆さんみたいな木だな」
「......悠聖くん」
「ああ?なんだ?」
「僕、心配なんだ.......」
「心配?何が?......ああ蝉神の樹の伝説の事か?お前まだあんな迷信信じてるの?『死んだ生き物を蝉神の樹の下に埋めると7年後に生き返る』なんて馬鹿な話」
「...........」
「どいつもこいつもあんな迷信を信仰しておかしな村!しかも明日はTV局がこの山に来るんだろう?世も末!大迷惑さ」
「......そうだね」
「【番組の企画で蝉神の樹を調査する】なんて話を雅史から聞いていなければ俺がこの村に帰ってくる事など絶対にあり得なかった。ああもう!また腕に蔓が絡まってきやがった。『蝉神の樹』はまだかよ!」
「ちょっと待って!悠聖くん!」
「ああ?」
「クソッ!やっと外れた。......で雅史、何だよ?いきなり大声だして」
「今、声が聞こえたんだ」
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