誠の愛につきまして

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   お母さま。  ここまで読んでいただきありがとうございました。  すべて、嘘偽りなく真実にあったこと、そして誠の愛を得た僕のお話です。  これからは、おじいさんの家で暮らそうと思います。おじいさんに誠の愛を捧げ、守ってさしあげたいのです。お母さまがこれを読んでいる頃には、僕はもうおじいさんの家におります。  あと一度、おじいさんを愛すれば、おじいさんは赤子よりさらに若返り――消えてしまうでしょう。以前、そのようなことをおじいさんは、おっしゃっていたような気がいたします。  こちらが書き終わりましたら、おじいさんの家へ行き、おじいさんを愛してまいります。おじいさんは消えてしまうかもしれません。でももしかしたら奇跡がおきて、女性のおなかにいたころの、胎児になって消えずにいられるかもしれません。  ……たとえおじいさんが消えてしまっても、おじいさんへの誠の愛とともに、生きていければと思っております。  僕は、お母さまがおっしゃっていた、誠の愛を見つけることができました。 「一生に一度に出会えるかどうかわかりません。出会えたらそれは奇跡です。絶対手放さぬよう。どうか大切に」  お母さまはおっしゃいましたね。僕は、こうして大人になる前に家を出ていくという、お母さまの意に反したことをしてしまいますが、お母さまの誠の愛の教えにつきましては、固く守っていきたいと思います。  お母さま、お身体をお大事になさってください。  今までありがとうございました。  ……と、申しましても、おじいさんの家はとなりのとなりのとなりですから、ご近所になりますね。  お散歩の途中で、すれ違うこともございましょう。  そんな時はご挨拶をいたしましょう。
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