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面食らいました。
恋。恋愛。
こちらのことにつきまして、お母さまは寝る前、いつも「誠の愛」というお話をしてくださいました。
お母さまのおっしゃった誠の愛とは。
人生の中で、ただ一人に向けられる、永遠のもの。
高等学校などで、子どもの交わし合う「愛」は、誠の愛ではないということ。
「誠の愛」を感じることこそが、生きている意味であること。
ゆえに、お母さまは20歳の誕生日を迎えるまでは、と。僕に、恋愛をしてはいけないとおっしゃいました。
だから、だめなんです、と正直に答えました。恋愛は、20歳になるまで、お母さまから禁じられております、と。
すると今度は、おじいさんが面食らったような顔をいたしました。ひどく驚いているようでした。
おじいさんは、少し考えてから言いました。
「では、人助けをしないか」と。
人助けでしたら。僕はうなずきました。お母さまから、積極的に行うようにと言われております、と。
かばんの中からお母さまの愛読書。マザァテレサの伝記を引っ張りだしてみせました。
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