誠の愛につきまして

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 抱擁をでございますか。  僕はあわてて、おじいさんの背に両腕をまわしました。身体をしっかりと張り付けました。見上げました。これでよいのでしょうか、と。  おじいさんはまるで子供に向かって笑うように肩を震わせました。  おじいさんと僕は一度起き上がりました。おじいさんは話してくれました。  おじいさんは、自分は特別な身体のつくりをしているのだとおっしゃいました。  なんでも、身体に男性の精を取り込むことにより、若返ることができる、というものでした。おじいさんは、その特別な身体で、想像もできないほどむかしから生きてきたのでした。何年か前から、おじいさんは精をとりこむことができなくなっていたのですが、この町に来てからは、また、精を受け入れられるようになったみたいです。  老いた時間を埋めるようにおじいさんはほうぼう、精を求めました。そして、何人めかの相手に、僕に目がとまったのだとおっしゃいました。  「人助け」の内容は、おじいさんと同衾し精を与えることで、おじいさんを若返らせるということでした。  おじいさんは、最初にこの町に来た頃より、だいたい50代くらいにまでなれたとおっしゃいました。自分の希望の年になるまで、まだまだだ、と。  僕は、僕にできることでしたら、と胸をたたきました。喜んで引き受けます。人に助けを求められたら、必ず手を差し伸べよという、お母さまの教えを守っておりますと。  おじいさんは、「ありがとう、ありがとう」と何度もおっしゃいました。
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