誠の愛につきまして

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 しかし困ったことがひとつありました。  僕は、同衾というものをしたことがなかったのです。知識だけは、高等学校の授業で履修しておりました。  口に出して言うと、なんだか顔が赤くなるのが自分でもわかりました。  おじいさんは、大丈夫だよ、と肩に手を添えてくださいました。  僕は、おじいさんを手さぐりで愛撫いたしました。  わからないところは、おじいさんがゆったりと指南してくださいました。  目が覚めると、おじいさんはとなりで横になっておりました。お顔を見ましたら、ああ、おじいさんは……。昨日触れた皺は、つるつると綺麗に消えております。眉も昨日より濃く、きりりとしておりました。 「昨日よりだいたい3,4歳くらい若くなれたかな」  おじいさんはおっしゃいました。 「ありがとう」  火照った胸が、上下しておりました。
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