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国総の宮崎先生が3年生の急用に対応するとかで、学活に変更された6時間目は、球技大会の練習をする時間になった。
担任教師から忙しない指示を受けた後、ばらばらと更衣室へ移動した2年A組の生徒たちは、体育館やグラウンドへと散っていった。
球技大会には四つの種目がある。バレーボール、バスケットボール、フットサル、テニス。
体育館へ行った橋崎は、前回の授業でチームが決まったばかりのバレーメンバーとぎこちなく話し合い、準備運動がてら少しだけ個人練習をした。
それから、トス回しでもしようと輪になった矢先に、前半の30分が終わってしまったので、後半のテニスチームが集まるグラウンドへ移った。
シングルス三組とダブルス一組からなるテニスには、五人のメンバーがいる。
前半の女子たちがネットを張ってくれたようで、コートは二面とも使える状態になっていた。
その片方で、東と日向がたらたらと打ち合い始めていた。彼らはさほど仲がいいようにも見えないが、気心の知れた雰囲気がある。
ぼんやりと首を巡らせた橋崎は、空っぽのコートの脇で一人、フードの下にヘッドフォンを嵌めて座り込んでいる神戸に、仕方なく声をかけた。
単体で過ごしている神戸の姿は今まで見たことがなかった。
けれど橋崎は、本来神戸とペアを組んでいるはずの余語の行方が、声に出して尋ねるほど気になるわけではなかった。
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