1 #球技大会#後半戦

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 なんだかどうも、意識が褪せるような心地がする。  集団生活とはなんて息苦しいのだろう。  橋崎はグリップを握ってコートに入った。  おねがいしますと言った。  風はなく陽射しだけが強い。  時の流れが滞っているようで鬱陶しい。  合成樹脂の上に立ってまだ2時間も経っていないのに板張りの感触が恋しい。  不可解な物事がそこらじゅうに散らばっている。  賀上はなぜ腐りかけの物ばかり食べるのか。小野はなぜ喋らないのか。六部はなぜ他人の顔をじっと見つめるのか。日向はなぜ公立のFランク高校に通うのか。北園はなぜ一学期から登校を諦めるのか。  先輩、サイコ、教祖さま。おばけ、シスター、モエゲーム。  性別とか性癖とか嗜好とか、出身とか世代とか職業とか、人々にはどうしてもタグが必要なのだろうか。その一つ一つには何通りの説明がつくのだろうか。説明をつけなければ個体として認められないのだろうか。  審判の声が聴こえた。  上がった息から熱を吐く。 『6-0』に捲り替わるスコアボードから目を逸らし、ラケットをカゴに放った。
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