《律》

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《律》

 なんてきれいなんだ。 さっきキリを抱きしめた時には、その華奢な身体が折れてしまいそうだと感じていた。でも今ベッドの上で何も纏わず横になっているキリは、膨らみもくびれも程よくある大人の女性の身体だった。 最後にキリとしてから6年以上の間、俺は誰ともこういうことはなかった。 優しくするとは言ったができるだろうか。 夢にまで出てきたキリのこの姿を目の前にして、湧き上がる欲情を抑えながら抱くのは至難の技だ。 それでも、出来うる限り優しく触れた。 柔らかい。 学生の頃とは違う包まれる様な柔らかさ。 俺は壊さないように慎重に触れた。 俺の腕の中で可愛らしい声を出すキリ。 そんな声を聞かせられると我を忘れて激しく触れてしまいそうになる。 するとそんな俺を制するようにキリが肩にしがみついてくる。 あぁ、愛しい。 キリは俺と同じ様に心まで満たされているだろうか。 お互いの心と身体が充実した瞬間、二人で達した時の幸福感は味わったことのないものだった。 キリは俺の腕の中で恥ずかしそうに顔をうずめている。 俺はキリのほおを両手で覆い、まだ潤んでいるキリの眼を見つめて言った。 「結婚しよう。今すぐじゃなくてもいい。結婚してくれませんか」 キリはコクンと小さく頷きながら「はい」と言って俺の胸に泣き顔を埋めた。
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