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幸せ
ガチャッ。
玄関の開く音がした。
「ただいま」
律が帰ってきた。
「おかえり!」
律は洗面所に直行してうがい手洗いを済ませ、それから横で待っている私にギューッとして軽くキスをする。
「キリ、ただいま。何してた?」
「マキに報告してたの。婚約したこと。泣いて喜んでくれたよ」
「泣いてか。喜んでくれてよかったな」
「うん、嬉しかった!」
「明日は日勤だろ?迎えに行くからポストの前で待ってて」
「うん。ありがと」
付き合い始めてから律は、都合のつく限り私を職場まで迎えにきてくれる。
早く会いたいんだそうだ。照れるけど私も同じ気持ち。今は帰るところが同じだからなおのこと嬉しい。
後からわかったけど、私が他の男性にちょっかい出されない様に警戒しての行動らしい。「律も仕事があって大変だから迎えはいいよ」と言ったときに「俺の安心のために迎えに行かせて」と言われたのだ。
私は律以外目に入らないのに…と思ったが私も嬉しいのだった。
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