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触れたい
律の寝室もリビングと同じように、ベッドと備え付けのクローゼットだけのシンプルな部屋だった。
やや大きめのベッドに二人向かい合って座る。
律が少し下を向いて言った。
「こんな…、ゆっくりとキリとの今までを埋めていこうと思ってたのに。でもごめん。もう、早くキリに触れたい」
「ううん。私も、私も律と…。でも律、あの、前に話したけど律と別れてから誰とも付き合ってないの私。だから、その…上手くできるかどうか…」
律は私のことをギュッと抱きしめて言った。
「キリ、俺も、俺だってキリと離れてから誰とも…。キスだってしていないよ」
「えっ?律はモテるからてっきり…」
「キリだってこんな可愛いいのに誰ともないなんて…。俺にとってはこの上ないプレゼントだ」
「俺は好きな人としかできない。今まで6年以上そういう気持ちになった人はいなかった。でもキリに再会した時から…、その…、触れたいし、キスも、その先もしたいんだ…」
「律…」
再会してからの律は毎回会うたびにかっこよくて堂々としていたけど、今の律はなんだかかわいくみえる。
「だから俺も上手くできるかわからない。それでもできるだけ優しくする…」
そう言って律は私の服に手をかけた。
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