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「緑、アンタにお見合いの話来てるんだけど」
「はあ?」
母親が急にそんな事を言い出した。
「何で私に?」
「だってアンタもうすぐ30でしょ?」
私は今年30になる。普通だったら婚活に忙しいお年頃だ。でも私は全く結婚なんて考えていなかった。
だって私はバツイチ子持ちだから。
「叔母さんの家の犬が病気になった時治してくれた獣医さんなんだって。とっても親身になってくれていい先生だったそうよ。開業医の奥さんなんて中々なれないわよ。それに桃ちゃん、動物好きだからちょうどいいんじゃないの?」
桃は今年3歳になる娘だ。甘えん坊でまだまだ手が掛かる。
「そんなにいい人だったらすぐに相手見つかるでしょ」
「それがね……ちょっとワケアリなのよ」
やっぱり。こんな私に縁談なんておかしいと思った。
「その先生って凄く不細工とか不潔とか、実は60過ぎのお爺さんとか? それとも変な趣味があるとか?」
「違うわよ。先生の年は32歳。緑とちょうどいいでしょ。顔は写真預かってるから見てみたら?」
母親がチャンスとばかりに封筒を私の前に置いた。中にはいわゆるお見合い写真的な物では無く、スナップ写真が数枚入っていた。
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