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エピローグ
xx年xx月xx日
「ユーコ、今日は、産婦人科でお腹の赤ちゃんの検診に行くんだよね?」
「うん、そうだよ、コースケ。楽しみだね、男の子かな? 女の子かな?」
「産婦人科によっては、生まれるまでヒミツ! って言って教えてくれないそうだよ。それに、その方が楽しいだろう?」
「うーん、そうかしら。でも、お腹の中で良く暴れるから、きっと男の子だよ」
「うん、そうかもね。さーて、それじゃあ、そろそろ行こうか」
彼が未来のニュースを受信した、電車事故の当日になっていた。結局あの事故のニュースは、あの時一回しか受信できなかったままだった。
だから彼は、未来の『不確定』さに懸ける事にしたのだった。そう、それは確定していると思われる『未来を変える』事だ。
すなわち、あの時受信したニュースと異なる状況を創り出す事で、彼は未来を意識的に変える試みを行っていた。それは以下の3項目だ。
1.事故当日に彼も同じ電車に乗り彼女と同じ場所に座る事で死傷者リストに彼の名前が追加される。
2.彼女のお腹の中に赤ん坊がいるので、当然死傷者リストの人数が変わる。
3.結婚して彼女の性名が変わっているから、死傷者リスト一覧の名前が異なっている。
結局、彼は彼女に今日の電車事故の話はしなかった。
なぜなら、結婚して彼女と幸せな日々が過ごせたのだから。
もし未来が変えられても、変えられなくても、幸せだった過去の日々は変わらないのだから。
彼は、未来を変えることが出来るのか?
彼は彼女の手をしっかりと握りながら、予定の電車に乗って、自分(と彼女)の未来と戦うのだった。
―― あえて、『了』とは書きません。 to be continue なのかな ――
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