不条理なわたしたち

１

「今は俺を見て」

蓮水さんは私を見据えながら、この手を離してというように、私の指にゆっくりとリップ音を立ててキスを落とした。

刺激的すぎる彼の行動にゾクっとして身を捩ってしまう。

「だ、だめ……っ」

「何で？」

拒む私をまた誘うように、私の指にキスを落とす。

ザラザラした熱い舌が私の指の上を這う。

私の理性は弱っていることもあり、崩落寸前。

「アイツは今、違う女としてるよ」

そこに追い討ちをかけてきた。

その言葉は、ズルい……。

私は完全に動けなくなって、涙がまた溢れて流れる。

「俺がいるから」

私の手の力が緩んだことに気付いた蓮水さんは、ブラウスの釦を外すことを再開させた。