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「ごめん、思い出させちゃったね」
蓮水さんが背中を優しく摩ってくれた。
優しい手つきに涙は止まらない。
「いつかは隼斗君と結婚するって思ってた……。だって、一ヶ月前に結婚の話をしてくれたばかりだったの……。それなのに、ひどいよ……」
かなり泣いたはずなのに、涙はボロボロ流れ出る。
蓮水さんは困ったように眉を下げると、私の頬に手を伸ばし、涙を拭ってくれた。
「それなら結婚する前に気付いて良かったじゃないか。気付かなかったら、このまま結婚してたかもしれないんだから」
蓮水さんの言葉は的確だ。
だが的確すぎて、心を抉る。
「私達は、やっぱりもう、終わり……?」
「葵ちゃんは終わらせたくないの?あんな酷いことをされたのに?」
その言葉を聞いたら、ダバーッと涙が滝のように流れ出る。
あんな場面を見たのに終わらせたくないと思っている自分が居る。
でも、それくらい私は隼斗君が好きなんだ。
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