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────数日後。
「──ココが、あたしと円くんの、この世界での愛の巣なのね♪」
場所はルニーンの街の住居区と農業区の境付近。
そこに他所様よりも少し広めのお庭付きの小さめなお屋敷が、ずでーんと建っています。
先の良藍の言葉が示す通り、“愛の”ではありませんが、眼の前にあるこのお屋敷がボクたちのこの世界──カドゥール・ハアレツでの住処です。
「しかし、三人──いえ、マドカさんの護衛の騎士を含めて四人で暮らすにはこの家は広すぎやしませんか?」
「仕方ないですよ。良藍が広いお風呂が欲しいって言って譲らなかったんですから」
「え~、だって、お風呂が広ければ一緒に入れるし、色々と……、ね♪」
──やれやれ……。ホント、良藍は欲と好奇心には素直ですね……。
「さて、それじゃ、まずは中に入って、各自自分の部屋を決めたら、家財道具と食糧を買いに行きましょう」
「は~い、あたし、円くんと同じ寝室がいい♪」
「はいはい、寝室は一緒ですね。ですが、各々、プライベトルームは必要ですから、自分の部屋もちゃんと決めてくださいよ?」
「わかってるって♪ じゃあ、あたしが一番~!」
そう言って、良藍はボクの手の上から家の鍵を引っ手繰っていくと、玄関の鍵を開けて、家の中へと駆け込んで行きます。
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