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──あー……、確かに振り返ってみると、自分の言動は見る角度によってはランテさんが言った通りに見えるかもしれませんが、あの場はああするより他が無かっただけ……なんですけど……ね……。
「……あー、ボクのことを姐さんと呼ぶことは分かりましたが、……その……“さん”付けしていた方を急に呼び捨てにするのは……その、自分としては抵抗感(?)というか……ハードルが高いというか……と、兎に角、これからはランテ君と呼びますね?」
「……分かったっす」
一瞬、ランテ君は不服そうな顔をしましたが、了承してくれました。
──さて、
「──ところで、このニーショの遺産である財宝の山はどうしましょう? ここにいる人数だけでは運び出すのに相当な時間──いえ、日数がかかりますよ?」
ボクは巨大ゴーレムの中から出てきた財宝の山を見上げ、誰となしに問います。
「おう、そいつなら心配ご無用!」
ボクの問に答えたのはガメッツさん。彼はそう言って、自分の腕を──正確には腕にしている腕輪を見せてくれます。
「コイツは“亜空間倉庫”っつって、前文明の遺産の一つでな。コイツは亜空間っていう異空間を形成して、そん中に何でも仕舞えちまうんだ。こんだけある財宝の山だって仕舞えちまうんだぜ!」
「──成る程、そうでしたか……」
ボクはガメッツさんの説明に関心を示します。そして、ボクは右手のロンググローブを脱ぎ、素手に嵌めている腕輪を繁々と見詰めます。
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