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「あ~、アレは収納する対象をいろいろと測量しているんです。ですから、キッチリカッチリ正確に山分けが可能ですよ」
そう、ボクがガメッツさんに説明していると、測量が終わったみたいで、空中を飛び交う球は各々が測量したデータを基にして算出された空間座標に移動すると、今度は点と点を結ぶように球がレーザー光線で繋がり合い囲いを作り上げます。そして、囲った内側の物を取り零さないよう光の膜が現れて、財宝の山の一部を完全に覆ってしまいました。
そして、ホログラム・ディスプレイには『次元跳躍による物質の空間転移を開始』と表示が出ると同時に、光の膜の内側に在った財宝は全て姿を消して後には空気以外のモノは何も残ってはいませんでした。
「──ひゃー!? さすがはフンドゥース王国所蔵の前文明時代製の亜空間倉庫っすね! オプション機能がパねーっす!」
役目を終えた球は光を消すと起動した時と同じく、自動で空中を飛び交い、腕輪の元の位置に戻ります。そして、ホログラム・ディスプレイには『作業完了。ご利用、誠にありがとうございました』と表示されると、ホログラム・ディスプレイもまた消えてしまいました。
「ほえ~、嬢ちゃんのヤツはすっげぇ~便利だな。オレのなんて、腕輪から出る光が確りと届く範囲の物までしか一度に仕舞えねーから、少し手間掛かるんだよな~……」
そう言って、四割がなくなってもいまだに見上げるほどの山を形成する財宝を前にガメッツさんはボクが持っている亜空間倉庫を羨ましげに見詰めています。
「兄貴、姐さんのを羨ましがっていても何にもならないっすから、さっさと、オイラたちの分を仕舞っちまいましょうっす」
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