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天井の崩落で舞い上がった埃が徐々に収まり、部屋の中の様子が鮮明に見えてきます。
「──あ! 貴樹君!?」
埃が晴れて、人影だった人物の姿がハッキリと見えるようになり、瓦礫の中に立っていたのが貴樹君であると確認できました。
更に、貴樹君の足下には彼が持つ勇者の剣が胸部に突き刺さっている人型のナニかが床に横たわっています。
「──ん? アレは……まさか!? 殺戮人形っすか?!」
ランテ君が床に横たわるソレを見て戦慄を伴った驚愕の声を上げます。
「何ですか? その殺戮人形とは?」
ランテ君の近くに居たサーハ君が、ランテ君が口にした殺戮人形について問います。
「──殺戮人形は、前文明が崩壊する原因となった戦争の末期に造られた“敵味方の区別無く、動くモノを全て破壊し殺戮し尽くすまで止まらない”凶悪な兵器の一つっす」
「…………」
ランテ君の解説に言葉を失うサーハ君。かくいう、ボクも床に横たわっている殺戮人形に戦慄を覚えます。
しかし、そんな凶悪な兵器を倒したであろう貴樹君は凄いの一言に尽きます。よくよく彼の容姿を見てみると、体中の至る所には刃物に因ると思われるかすり傷や打撲傷が無数に見受けられ血が滲み、身に纏っている制服はボロボロ。更にボクが知る限りでは貴樹君がヒドく息を乱している姿を見るのは、お城で勇者の能力に覚醒したての彼が騎士団最強の人と初めて手合わせをした時以来です。
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