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──ピクッ。
挨拶もナシに言うに事欠いて、このガキャ……。
「言っておきますが、ボクはこれでも三十代前半なものでしてね。だから、お酒を呑むことをとやかく言われる筋合いは無いのですが?」
「──!? マジかよ、嬢ちゃん! オレより、四つ以上、上なのかよ!」
おや、見た目に反してガメッツさんって意外と若かったんですね……。
さて、それよりも問題なのはメンド少年。
「え? えー?! マジ!? 見た目、オレっちらと変わらねーのに、三十過ぎとか、タカキが言ってたロリバ……──へ? あれ? 何で、オレっち、宙に浮いてるの?? って!? っのわぁ~-?!!!」
メンド少年がみなを言い切るより先に、堪らずボクは彼を風の魔法でもって宿屋の外へと追いやります。
「──貴樹君、アレに何て言葉を教えてるんですか?!」
「…………えっと、あの、その、す、すみません!」
「いきなり、やらかしたっすね、アレ」
風の魔法で飛ばされて行ったアレこと──メンド少年をランテ君は“あー、やっぱりっす”といった表情で視線だけで見送ると、何事も無かったかのように、
「ささ、勇者貴樹君も、第三王女様も、ユーウちゃんも、座って、好きなモノを注文して、たらふく食って楽しんでいって下さいっす」
貴樹君たちに席を勧めます。
そうして、その後も色々となんやかんやとありながら、飲めや歌えのドンチャン騒ぎな宴会は深夜まで続きました────。
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