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──コン、コン、コン。
ルニーン・タウンでの新生活を始めた翌日。
時間は昼食には幾分まだ早い、朝の時間帯。
玄関のノッカーが鳴らされ、来客を告げます。
「は~い、少々、お待ちくださ~い!」
玄関開けてのすぐにあるエントランスホールに設けた居間も兼ねる応接セットのソファーで寛いでいたボクは、外にいる来訪者に聞こえるよう大きな声で応答すると、座り心地の良いフカフカなソファーから起ち上がり、乱れた身なりを整えてから、玄関の扉を開けます。
「いらっしゃいませ、どちら様で──」
「約一週間ぶりです、円さま」
ボクがみなを言い切るより先に来訪者──ボクの護衛の騎士さんことアイナ・ガーディトンちゃんが、再会の挨拶をしてくれます。しかし、彼女の出で立ちはボクと旅をしていた時のような動きやすさを重視した簡易的なものではなく、儀礼的な礼装をきっちりと身に纏っています。
「……ええ、そうですね、アイナちゃん」
「えへへ……、円さま、以前のおじさまの姿の時も色々と好かったですが、現在のお姿もプリティでラヴリィで抱き枕にして一緒にお眠りしたいほどです──いえ、自分専用の抱き枕にしたいです♪」
「…………そ、そう。あ、ありがとう(──で。いいのかな?)。ところで、アイナちゃん、どうしてボクのことを“さま”付けで呼んでるの?」
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