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「──マ、マドカさん、助けてください!」
──ん? はて? この声はサーハ君の声ですね。しかし、何やら慌てているご様子で、しかも、ボクに助けを求めているとはいったい何があったのでしょうか?
ボクはいまだに笑顔で睨み合う二人を残し、サーハ君の声が聞こえてきた方向──家の中へと入っていきます。
すると、そこには、
「──よかった、マドカさん、彼女を落ち着かせてください」
エントランスホールの床に押し倒されて衣服をはだけているサーハ君と、彼の上に馬乗りになって荒い息をしているメイド三姉妹の一人──メドと名乗った娘の姿が目に入ってきました。
「えっと、メドちゃん──で、いいかい?──は、何をしようとしているの?」
「はい。メドはトラバーナの惨劇以来、離れ離れになってしまったサーハ様と、こうして再会できた事を喜び、そして、仇は取ったとはいえ、トラバーナの人々を、国を、亡くされて癒えることの侭ならない心の傷を抱えたサーハ様をほんの僅かばかりでもお慰め出来ればと思って、ご奉仕しようとした次第です」
「そうなの?」
メドちゃんの話を聞き、ボクはサーハ君に確認をとります。
「──え、えーと、確かにこのメドはトラバーナの王宮に勤めてました。それと、知り合いの伝手でフンドゥースの王宮に勤める事になったとも耳にしてました──」
「はい♪ サーハ様の仰る通り、メドはあの惨劇の折、命からがら逃げ果せた後、フンドゥースの王宮に勤めている知り合いの計らいで、フンドゥースの王宮に勤める事に相成りました。そして、この度、御子様達のお世話係に抜擢されて天にも昇る気持ちになりました♪ 何故なら、御子様のお側にサーハ様がいらっしゃると聞き及んでいましたから。そして、そして、サーハ様と再会できた暁にはお勤めとは別にメドのスペシャルなご奉仕で、サーハ様を慰め癒して差し上げようと心に誓いました。ですので、こうして再会できました以上は、メドはサーハ様を慰め癒すべくスペシャルなご奉仕を──」
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