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5500℃-02
岡井妙子──聖パルーシア学園に在籍していたとき、麻里が一子から強奪した子だった。彼女もケミカルの血を持っており、なおかつ吸血鬼の属性を伝染させてしまったのだった。
当時はまだ吸血鬼化を防ぐ薬品は開発されておらず、悲観した岡井妙子は自殺してしまった。
「せめて、後生だから銀の弾丸で頭を狙って楽に逝かせて」
一子は笑った。
「確かに頭を狙う、それも頭に銃口を当てて殺すのは暗殺の鉄則よね──でも、あなたの身体能力では近づいた途端に両足で首を挟まれ、窒息させられるか脊髄をやられてしまう──それにね、吸血鬼は銀の弾丸では死なない、それは狼男よ」
春日井麻里はちっ、と舌打ちした。
「45ACP弾──弾頭がニッケルのホロウポイント──中空には元素記号Hg、水銀を詰めてある──汎用の対人外弾頭──人体を貫通しづらいから、楽には死ねないわね」
安原一子はトリガーを引いた。音速に少し足りない弾速で水銀強装弾は春日井麻里の右乳房に命中する。さすがに弾丸は貫通してしまい、おびただしい血液、皮膚、そして豊胸手術を物語るコヒーシブシリコンが飛散した。
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