Chemical-03

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Chemical-03

 彼女の胸元に、見覚えのあるネックレスがかかっている。  十字架の横線に──「παρουσια(パルーシア)」。  鞠佳が卒業した、人外(にんがい)──ケモミミなどの動物ハーフや小悪魔、そんな生徒を優先的に取るというカトリック系の学校、聖パルーシア学園のネックレスだった。 「どう、ちょっとは楽になった?」 「ええ、ありがとうございます」 「あなた、わたしと同じ学校を出てるわね」  そう言って鞠佳は露出の高い胸元から、まったく同じネックレスを引っ張り出して彼女に見せた。 「わたしは種村鞠佳、あなたは?」 「生田(いくた)はんな……です。聖パルーシアでの先輩ですか?」  二人で話していると、どうやら聖パルーシアで同級だったことがわかった。 「卒業してもう八年かぁ……なんだか凄いシンクロね……ところで、さっきのあの男は? ……あ、無理に話さなくてもいいよ」 「同棲している彼氏なんです──普段は優しいのに、ときどき暴力を……」
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