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Chemical-05
はんなはさっきから介抱してくれている鞠佳の姿を見つめていた。金髪でショートの髪、どことなくアスリートっぽい。
「ここにいるのもなんだから、カウンターにでも行かない? お酒はいける口なのかしら? 食べるものも結構そろっているし」
「じゃあ、そうします」
ママも狭い店内の常連客たちも、ロルカの中に緊急避難してきた生田はんなの変身ぶりに驚いていた。
いい感じの美人さんね、とママが感嘆した。
聖パルーシア学園で同期生だったことなど、鞠佳が説明した。
「おうちに帰らないなら、とりあえず今夜はうちに居たらいいわ、看板は午前五時ぐらいだから。チャージも取らないから、ちょっとは飲んだり食べたりして過ごしてね。それとも今夜は鞠佳のおごりかしら」
ひどいわね、と鞠佳が笑った。
あの……、とはんなが切り出した。
「まずはお水いただけますか?」
そんなかしこまった口調でしゃべるお店じゃないのよ、と鞠佳はミネラルウォーターをはんなに出した。
「ありがとう、頓服のお薬を飲みたくて……」
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