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Chemical-07
「はんな、どうする? わたしの住んでるアパートでもいいんだけど、散らかっててとてもはんなを入れるわけにはいかない──」
「気遣いしないで、ホテルにでも泊まるから」
はんなの頭の中には、ゴールデン街から花園神社を抜けたところにあるラブホテル街が浮かんでいた。
「ラブホに泊まるの? ならわたしもはんなと一緒に泊まりたいな。あ、へんな意味でじゃないよ。あの男の件、これからじわじわ嫌な気分になるのがわかってる、だから、はんなを一人にしたくない」
「そんな」
結局、はんなと鞠佳はロルカの営業を終えるとラブホテル街にやってきた。鞠佳はよさそうなホテルで空室ありのところを探した。すぐ見つかり、チェックインを済ます。
はんなは先にシャワーを浴びた。脱ぐときにボタンの足りないブラウスを見て、明日、どこかで新しい服を調達しないと……と思った。
鞠佳もシャワーを浴びたのだが、出てきて髪を乾かしているあいだにはんなは眠ってしまっていた。胎内回帰するように、足を抱きかかえてはんなは眠りについていた。鞠佳はそれを後ろから抱きかかえ上等なケミカル・ブラッドをすぐ目の前にして煩悶しつつ、いつしか眠ってしまった。
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