1人が本棚に入れています
本棚に追加
ドアの覗き穴のすぐ下にハート型のコルクがぶら下がっていて、そこには《かぐらももこ》と書いてあった。
「(かぐらももこ....名前可愛いな)」
そして女はポケットから鍵を取り出し鍵穴へ差し込み開けた。
女が先に玄関へ入った事を確認すると、俺はドアの隙間へ片足を差し入れドアを固定する。
そして....
「ほらよ」
そう言ってパンダを差し出した。
「あ....うん....ありがと」
女はパンダを受け取ると、俺を上目遣いで見て照れているのか小さな声で礼を言った。
へぇ、案外素直だな。
「どう致しまして」
俺は口元を少し緩め少し笑って返答した。
俺の返答に女は少し俯き加減でコクリと頷いた。
「....じゃあな」
そう挨拶すると俺はドアに掛けていた片足をどけて女に背を向けた。
そして、階段へ足を進める。
「....ちょ、ちょっと待って!」
俺を呼び止める女の声がした。
「ん?」
俺はその声を振り返る。
当の本人はドアの隙間からヒョコッと顔を出していた。
「あ、あの....」
どもる女。
「何だ?」
俺は女に尋ねる。
すると女は何故かモジモジしだした。
何だってんだよ?
最初のコメントを投稿しよう!