君と共におやすみ

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 寝る前に考えることは一番好きなもの。  ――ていうけれど  それは本当なのかな。  いや本当なのかもしれない。  いやいや実は一番嫌いな奴とか。  ――いや、それはないか  嫌なものを浮かべて幸せになるだなんて、可笑しすぎるもの 「ああ……」  眩しくもなんともない部屋の電球を見上げながら、私は額に手をかざし、ゆっくり、目の上にもっていく。 『由香(ゆか)さん』  とても優しくて、心地よい低さの声がそっと私の鼓膜に幻聴を残す。  何度でも何度でも思い返せる、君の声。 『大好きですよ』 「わぁ!」  思わず声を上げて起き上がる。  直接言われたわけではないのに。  そう、幻聴、幻聴なんだ。 「あー……あー!」  意味もなく掛け布団に顔を埋めて叫んでみるけど、一度上がってしまった体温や顔の異常な熱は消えやしない。背中にぶわっと溢れた汗が衣服をじっとり濡らす気配もして、何をそんなに意識してるんだ私は、と馬鹿馬鹿しくなると同時に恥ずかしさがどうしても拭えなくて「うーうー」と再び唸ってしまう。  幻聴なのに。幻聴なのに。  そう繰り返すけど、わかってる。そう、わかってる。 「言われちゃったんだよなぁ……あぁ」
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