2人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
寝る前に考えることは一番好きなもの。
――ていうけれど
それは本当なのかな。
いや本当なのかもしれない。
いやいや実は一番嫌いな奴とか。
――いや、それはないか
嫌なものを浮かべて幸せになるだなんて、可笑しすぎるもの
「ああ……」
眩しくもなんともない部屋の電球を見上げながら、私は額に手をかざし、ゆっくり、目の上にもっていく。
『由香さん』
とても優しくて、心地よい低さの声がそっと私の鼓膜に幻聴を残す。
何度でも何度でも思い返せる、君の声。
『大好きですよ』
「わぁ!」
思わず声を上げて起き上がる。
直接言われたわけではないのに。
そう、幻聴、幻聴なんだ。
「あー……あー!」
意味もなく掛け布団に顔を埋めて叫んでみるけど、一度上がってしまった体温や顔の異常な熱は消えやしない。背中にぶわっと溢れた汗が衣服をじっとり濡らす気配もして、何をそんなに意識してるんだ私は、と馬鹿馬鹿しくなると同時に恥ずかしさがどうしても拭えなくて「うーうー」と再び唸ってしまう。
幻聴なのに。幻聴なのに。
そう繰り返すけど、わかってる。そう、わかってる。
「言われちゃったんだよなぁ……あぁ」
最初のコメントを投稿しよう!