橋を下から見つめる

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「ありがとう太ちゃん。私を、あの地獄のような日々から救ってくれて」 「えっ……」 「5歳下の弟に助けられるなんて情けない姉だと自分でも思うんだけど、でも本当はバカにしてないしすっごくすっごく感謝してるんだよ」 「……」 「このワンピースも買ってくれてありがとう。昨日までは黒やグレーばかり着させられていたし、胸が苦しくなるような下着もつけていたから今日はとっても心地良いんだ」 「……」 「深呼吸がこんなにも開放感あふれるものだって初めて感じたかも。太ちゃんはこの白くて大きな橋とおんなじだよ」  そうやって無邪気な笑みを振り撒き、朗らかなセリフを口にする姉の上半身は純真無垢な女の子そのものだけれど  弟の手を強く握りしめ、太腿の密着を止めない姉の下半身は愛に飢えた女そのものであるように感じて……未熟な未成年の僕は花ちゃんにどんな言葉をかけてやるのが正解なのか考えあぐねてしまう。
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