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簀に巻かれて河原に打ち捨てられた私は、字面どおりのボロきれで、虫の息だった。
ようやっと宿敵の居場所を突き止めて、意気込んできたのに…仇討ちすらできずこんな河原の外れで終わるのかと…悔しさに打ちひしがれていたところで私は、
「うわあ、こりゃひでえ…」
町外れに住む、医者の青年と出会った。
発見されたわたしの体は紫のアザだらけな上に、全身骨折と内臓がいくつも破れている重症だった。
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背負って連れられてきたのは家とは名ばかり、荒屋に毛が生えた程度の家屋だった。
触るな、放っておけと跳ね除ける私を本気で心から叱り付けて、まともに歩けるようになるかも分からないと、唸りながらも青年は手を尽くした。
夜更けを越して、手術が終わったのは昼を2時間ほど回った頃合い。
意識を取り戻した私に、青年は零士と名乗った。
手を尽くしてくれたそのお陰もあり私は、なんとか命をなくさずに済んだ。
雨露にぬれる紫陽花の葉陰で蛙が鳴いていたから、六月のなかばだったように思う。
3ヶ月のうちに、徐々にだが心がほぐれてきて零士と私は患者と医者というよりも、友のような関係になっていた。
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