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晴天の下
雲一つない晴れた空。
俺は、ふと、自分の死期について考えを巡らせた。
自分が死ぬ時の天気は、どんな天気なのか興味が湧いたのだ。
どんな天気で亡くなるのか、晴れ、雨、くもり、はたまた嵐の日か。そう考えれば、考えるほど自分の死に際の天気が、どんな顔を見せてくれるのか、これから楽しみでならない。
*
ある日、中学時代の同級生が死んだ、と風の噂で耳にした。あまり関わりすら持たなかった同級生の死は、【病死】だと聞いた。
酒とタバコの飲み吸いが激しく、それが原因で亡くなったという。
周りの関わりを持つ者は、彼の死を悲しんだ。
だが、俺は彼の死の原因なんかどうでも良い。死んだ原因なんて、結局は他人と似たり寄ったりな感じで死ぬのだ。
それよりも、彼が死んだ日の天気だ。
彼が死んだ日の天気はーー晴れだった。
とても、美しい青空の日だった。
「……。羨ましい」
羨ましい限りだ。天気の良い日に亡くなるなんて羨ましい。
俺も天気の良い空の下で死にたいーーそう、強く思うようになっていた。
でも、死ぬにしても場所を選ばないといけない。
そうだな……。緑豊かな芝生の上で、眠るように死にたいな。
「そうだ、探しに出かけよう」
俺の最期を飾る、良い死に場所を探しに旅に出よう。
俺は最低限の荷物を持って、美しい芝生を探しに旅に出た。
別に今死にたいというわけではない。
例えるなら、生前葬儀みたいなものだ。生きているうちに葬儀を済ませる人もいるのだから、自分の最期の場所を探してもバチは当たらないだろう。
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