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迷いのない声だな。初めてお前の立場を羨ましいと思ったよ。双子として生まれて来て、そう、初めてだ。
「ライファ、俺にも自由があると、忘れるな」
「なんだ、いきなり」
「ミレイは返してもらう。青龍の騎士としてではない。俺の意思だ」
遠く離れて想いを募らせた。逢いたくて触れたいと願った。ようやくその時が来たのだ。掴めるはずの手を放したりはできない。
「愛しているというのか」
腕に刻印があろうと、誰を想うのは自由だろう。
「わかった、セイラン。帝国の危機にお前と仲違いする気は無い。私から奪え、ミレイが欲しいならな」
「あぁ、そうさせてもらおう」
「だが、明日の婚約の儀は予定通り行うぞ。でなければ宰相が納得しない。王位継承が控えてるからな」
「構わないさ。偽りの婚約発表になるのだから」
俺達はそこまで話し、互いに顔を見合わせて声を出して笑い合った。
「変わらないな、ライファ」
「お前は変わったよ。ようやく正直になった。手強い好敵手になりそうだな」
ユリナ様の様に、結ばれない運命は辿らない。ミレイをけして1人にはしないと誓える。
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