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白龍の怒りを収めたなら、すぐにでも再びアルザと対峙するつもりだ。
『私の目的を明かせば、災いが起きようと協力はしない』
腹立たしいが、今はライファにも真実を話せない。
気をつけろ、ライファ。王族が狙われているのではない。帝国そのものが狙われているのだと。
「ところで、ライファ。ミレイを返してもらおう」
四獣を呼び出せるのは巫女のみ。俺が帰ればミレイを返す、それが約束だ。
「聞いているだろう、明日、私はミレイと正式に婚約をする」
ライファは目を背けず真っ直ぐに俺と向き合う。本気なのだと、目を見れば嫌でも伝わる。
「ライファ、白龍を静めるには、巫女の力が必要になる」
「承知している。全てが片付くまでは、成婚の儀はお預けだ」
だとすればまだ―― ミレイを取り戻す時間は俺にも残されている。そういう事か。
「俺は認めない、ライファ、考えなおせ」
「私はミレイを妃に迎える。お前とは違う」
「俺は……!」
俺はどうすると。騎士である俺が。
「どうする事もできないのだろう。私は引く気はない」
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