新たな挑戦

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 放課後、僕は図書室に来ていた。委員集会のためだ。図書委員の先生が挨拶をして、委員長の先輩も自己紹介をした。 「三年B組の水本(みずもと)詩希(しき)です。一年間、委員長としてみんなを引っ張っていけるようがんばります。よろしくお願いします」  詩希先輩の自己紹介を聞いた生徒たちは少し騒がしくなった。僕も一瞬、『珍しい名前の先輩だな』と思ったけど、この委員会に対する気持ちがまっすぐな気がして、『すごい先輩だな』とも感じていた。 「あの先輩、変な名前だね」 「漢字は違うみたいだけど、季節の四季をイメージした名前って、うわさだよ」  背後から別なクラスの生徒の小さな声が聞こえてくる。それを気にしていたら、各クラスの自己紹介が始まっていた。 「それでは、図書委員の活動について説明します」  全員が自己紹介をしたところで、詩希先輩はカウンターにむかった。そこで、僕はため息をつきたくなった。 『あぁ、やっぱり。図書委員といえば、これだもんなぁ』 「図書委員の主な仕事は、受付です。一日に、昼休みと放課後の二回、ここ図書室を開けます。主な休館日は、七時間授業の水曜日の放課後です。一年A組からローテーションで担当してもらいます」  ほかの生徒も面倒くさそうな表情だ。 「部活の大会前とかは、休んでもいいんですか?」  ある生徒の質問に詩希先輩は頷いた。 「そういうときは遅くても前日までに、私に連絡してください。当番の調整をするので…」  それから詩希先輩は、ほかの仕事内容も説明し始めた。当番の日は、空いた時間に本棚の整理もする。そして、冬休み前後には全員で本の入れ替えなどの蔵書点検をする。これが、図書委員のだいたいの仕事だそうだ。  仕事内容の説明が終わり、本格的に図書室を開ける準備が始まった。
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