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私は、あの子が嫌いだ。
昼休み、みんなが彼女の周りに集まっていく。一人の私は、騒がしい教室で自分の世界に閉じこもり、黙々とお弁当を食べ始めた。
一人が好きでそうしているのに、彼女やみんなが楽しそうに話しているのを見ているとなぜか悲しくなってしまう。それに、イライラもする。
『なんで、なんで、なんで』
お弁当を食べ終えた私は、苦しい気持ちを振り払うように席を立ち、教室から駆け出していた。
廊下にも多くの生徒がいて、騒がしい。
どす黒い感情が、あふれてきた。
階段を勢いよく駆け下りたせいで、小さな段差につまづいて、階段の踊り場に倒れてしまった。なんとか、床に顔面直撃は避けることができたけど、膝と手のひらがじんじんする。
痛みよりも、だれかに見られていないかということが気になって、私はすぐに立ち上がった。
痛むとことを確認してみると、手のひらは赤みを帯びていて、膝は広範囲で白くなりところどころから血が出ていた。痛むのは変わらなかったけど、私はその痛みに快感をおぼえていた。
「…傷つきたい、なんて思う私は、変なのかな」
痛みは、イライラやどす黒い感情を消してくれる。
「保健室行かないと…。あ、でも、図書当番だから、鍵開けなきゃ…」
私は、ぼそっと呟いて、鍵を借りるために職員室へむかっていた。
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