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瑠月は泣いてる。
「一緒に探して」
って僕に頼んでくる。
でも、そんなことはしたくない。
だって、あのリボンは笑顔を奪っていくんだ。
涼しく心地よい風とともに
僕の瑠月をさらっていくから。
「探してよ」
「でもさ、瑠月」
「探して。私たちは小学校一年からの友達でしょ……!」
僕は思う。確かに僕と瑠月は、五年間の友達ではあるけれど、それがリボンを探す理由にはならないはずだ。
嫌だって言いたい。
はっきりと瑠月の顔を見て。
けれど、そうもいかない。
だって今……瑠月は泣いてる。
「いいよ」
その返事は、ただ言ってみただけ。瑠月の力にはなれない気がするのに、答えが他に思いつかなかった。
「本当!?」
「……うん」
頷くけど、僕は必死に探せないと思う。そう強く思うけれど、僕の表情に出なかったらしい。
瑠月は泣きながらも
「ありがとう」
と僕に感謝した。
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