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瑠月はぎゅっとリボンを握る。
そして、強く頷いた。
「分かった、蓮ちゃん!」
「……え?」
瑠月は、僕に背を向け、リボンを思いっきり投げた。リボンは飛んでいく。リボンは少し離れた草むらの中に紛れた。瑠月は投げたリボンの行方をしっかりと辿らずに、優しく僕を見た。
「蓮ちゃん、大丈夫? 元気になった?」
「瑠月、いいの……?」
僕はリボンが飛んでいったほうを指差す。
瑠月は目線を背けずに僕を見たままだ。
「リボンはまた手に入るものだもん。泣いてる蓮ちゃんを元気にできるなら……捨てられるよ」
「瑠月……」
「でさ、リボンを捨てたから、蓮ちゃんは元気になったの? そこが重要だよ? どうなの?」
「……なった」
「本当!? 良かった!!」
瑠月は嬉しそうに微笑む。
僕はその時、分かった。
瑠月はちゃんと大切にしてくれてたんだ、僕のことを。
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