六等級の石

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 俺には親がいない。 孤児院ですくすく育った俺は、成人して煙突掃除人としてそこそこの生活していた。  そんなある日、事件が起きた。この町一番の美男子と言われる野菜売りのエミルが、何者かによって殺された。  エミルの遺体を見て、探偵のヴァロが小さく言った。  「遺体にすすが付いてる……煙突掃除人のオンニだと思うが……今朝旅に出た、ペンキ屋のケムも怪しいな……」  すると、彼と付き合っていた女、この町一番の美女と言われる踊り子のマリアが、泣きながら怒鳴った。  「ケムはエミルの親友よ、こんなことするわけ無いじゃない」  「いや、しかし可能性として……」  「オンニよ……オンニがエミルを殺したのよ!」  「オンニか……」  事の全てをヴァロから聞いた俺は、ヴァロに言った。  「違う。俺は殺してなんかない。昨晩は、もうすぐマリアと結婚するってエミルが言ってたから、そのお祝いに花束を買いに行ってただけだ」  「そうか、分かった。じゃあ花屋に聞いて……」  「そんなの嘘に決まっているじゃないか」  ヴァロの後ろから、男が怒鳴ってきた。男は続けた。  「もうすぐ結婚すると聞いて、エミルを殺し、マリアと結婚しようとでも考えたんだろう」  「そうだ、そうに決まってる」  男の近くに居るのであろう別の男の声がした。ヴァロは頭をかいてため息をついた。  「僕と君、そしてエミルは同じ施設で育った友人、いや兄弟だ。僕は、君がエミルを殺すとは思っていない。けど、あのように町の人達は君を疑っている。絶対に違うこと、本当の犯人が分かるまでは、恐らくこのままだろう」  「そうか……分かった。俺は出ていく、何か思い出したら、お前に手紙を出す」  「あぁ、そうしてくれ。本当の犯人が分かる、何らかの手がかりになるだろうからね」  ヴァロはそう笑うと、外で騒いでいる男達をなだめに行った。  その日の夜、俺は町を出た。
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