六等級の石

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 それから、一人ぼっち同士の二人の旅が始まった。  あちこちで宿を借りながら。たまには滞在先の村で、俺は煙突掃除人として働いた。レオは靴磨きをして小銭を稼いだ。それでいくらか金が貯まると、また次の村へ……と、宛などない旅をしていた。途中で喧嘩もしたし、煩わしいと思うこともあったが、何より愛おしく、家族とはこんな感じなのかとレオと一緒に過ごす中で思った。  いつしか、滞在先の大きな家の煙突から『ふわふわ村』が見え、世界は狭いこと、一つであることを思い知らされた。   村に入れば、村人が俺を始末するだろう。と思った俺は、滞在先の宿のベッドに入っているレオに言った。  「この町はすごしやすいか?」  「うん」  「そうか……俺は明日、ここを出て行くが、お前は来るな」  「嫌だよ、何でそんなこと言うのさ」  「次の村……『ふわふわ村』は危ない町だからな」  「だったらオンニも行かなければいいじゃん」  「だめだ」  「じゃあ僕も連れてって。だめって言っても行くからね」  レオは両頬を膨らませてそっぽを向いた。これは、何を言っても動く時の顔だ。俺は根負けして、レオに言った。  「分かった。俺の負けだ」  レオは頬を戻すと、俺を見た。俺は続けた。  「明日の朝、この村を出よう」  「うん」  レオは笑って眠った。俺はレオの頭をそっと撫でた。  『ふわふわ村』に入ると、すぐに村の男に見つかった。俺はレオを背に隠すと、村の男達は俺に銃口を向けた。  「この人殺しがぁ」  「だから、俺じゃねぇっての」  「うるさい。放てぇ」  男達は一気に引き金を引いた。俺は声を殺してレオを庇った。発砲の音が消えたと同時に、俺はそこに倒れた。すると、レオが俺を見て泣きじゃくった。  「何で? オンニ、やだよ……起きてよ……」  「ごめ、なぁ……レオ……」  楽しかった。と言おうとして吐血した俺は、それが言えずに、代わりにレオの頬をそっと撫でた。  こんな顔させたくなかったな。と思いながら、俺の意識は遠のいた。
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