六等級の石

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 好きだと告白して、あっさりフラれた初恋相手の花屋の娘の後に、レオが好きになるのはどんな人なのだろう。その人と一緒になって結婚して、子どもは何人居るのだろう。そんな事を思いながら、俺はレオの石を必死に探した。  気付いたら俺の胸元で光る石は、赤からほんのり白っぽくなっていた。  俺は両頬を両手で思い切り叩くと、石探しを再開した。すると、どこからか俺の作った子守唄が聞こえてきた。  「君は綺麗な一等星  僕は暗い六等星 君は僕を見つけられない だから僕が探すんだ  君は綺麗な一等星  僕は暗い六等星 いつか君に会いに行く だからそこで待ってておくれ  君は綺麗な一等星  静かに光る青い星  僕は暗い六等星  君の隣の見えない星」  「ねぇ、オンニ知ってる? 人は死んだらお星さまになるんだって」  と言ったレオに、俺が作ったオリジナルの子守唄。  「少し悲しいけど、最後は隣にいて……素敵な歌だね」  最初に聞かせた時、レオはそう言って笑った。  「一応、俺とレオの歌だ。レオが一等星な?」  「そうなんだ。素敵だね……また歌って」  それから、レオに毎晩さいそくされるため、紙に歌詞を書いて、歌詞が変わらないように歌っていた。  この歌を、歌えるほど知っているのは一人しかいない。  俺は歌声のする方へ走った。すると、小さく輝く石を胸元に宿したレオがそこに立って歌っていた。  「レオ……何で?」  レオは歌を止めて俺を見て笑って応えた。  「オンニが死んじゃってからは、ヴァロさんと一緒に住んでたんだ。でも、僕病気になっちゃって……十歳の誕生日の次の日にここに来たんだ」  「そんな……」  「だか……」  「俺のせいだ……俺が、ちゃんといい物食べさせてやれなかったから、俺がちゃんと定住しなかったから、お前を苦しめて、病気にさせちまったんだな……おい案内人、いるんだろ? 俺の命はどうなってもいいから、こいつを……」  「やめてよ、オンニ」  レオの怒鳴った声に、俺は正気を取り戻した。そしてレオは俺に抱きついて言った。  「誰のせいでもないんだよ。人には寿命があるんだって。オンニが死んじゃったのは、僕がわがままを言ったからだって思ってた時ね、ヴァロが教えてくれたんだ」  「そう、か……」  俺がレオを抱きしめて、そっと頷くと、レオは俺を見て言った。  「オンニが死んじゃった日から三日くらい後にね、ヴァロが、そのエミルって人を殺したのはケムっていう人だって証拠を集めて証明したよ。それで、ケムって人が認めて、処分されたんだ。それで、疑ってすまなかったって、村の人達がオンニに素敵なお墓を作ってくれたんだ。それで、多分僕のも隣に……」  「そうか……」  少しして、レオは思い出したように言った。  「あのね、僕、六等星だって。案内人さんに言われたよ」  「そうか。お前が六等星か……」  「オンニは?」  「俺は十等星だ。あの歌の歌詞、変えなきゃなんねぇな」  「いいよ、このままで。気に入ってるんだよ、僕」  「そうか……まぁ、お前の方が輝いてるのは一緒だからな」  「フフフッ、そうだね。あっ、この石見てみて」  レオは俺達の隣の黒い石を示して言った。俺はそれの中を覗いた。ヴァロの石だった。  「ねぇオンニ。僕、ヴァロさんの事を見てたいな……」  「あぁ、そうだな」  俺を見て嬉しそうに笑ったレオの肩を抱いて、笑い会うと、俺達はヴァロの石の中を静かに覗いた。  暫くして、俺達の石は、青色に輝いていた。
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