1.5 文香

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 人目をはばかり屋外の休憩ベンチに場所をうつす。 「こじれると面倒だから、ちゃんと説明しなね」  と杏奈が去ったのち、さっそく純哉が向きなおす。 「文香、もうすぐ誕生日だろ。杏奈にプレゼント選び手伝ってもらってた」  もっともらしい理由で、事実でもあるのだろうが、文香は素直に喜べない。 「気つかってくれなくていいのに」 「そういうんじゃない。俺が祝いたかっただけ」  ときめくセリフの連続でも、やはり納得できず。 「だったら、私に直接きいてくれてよかったけど」 「それだとサプライズにならないだろ」  ほかの誰かと仲よくされるくらいならサプライズなんていらない、と言ってしまいたかった。けれども純哉の心づかいには感謝しているし、友人に対して嫉妬してしまったのを知られたくないし、だからといって気のきいた返しを思いつくでもなく、結果、視線をさげて黙ることしかできない。
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