5人が本棚に入れています
本棚に追加
人目をはばかり屋外の休憩ベンチに場所をうつす。
「こじれると面倒だから、ちゃんと説明しなね」
と杏奈が去ったのち、さっそく純哉が向きなおす。
「文香、もうすぐ誕生日だろ。杏奈にプレゼント選び手伝ってもらってた」
もっともらしい理由で、事実でもあるのだろうが、文香は素直に喜べない。
「気つかってくれなくていいのに」
「そういうんじゃない。俺が祝いたかっただけ」
ときめくセリフの連続でも、やはり納得できず。
「だったら、私に直接きいてくれてよかったけど」
「それだとサプライズにならないだろ」
ほかの誰かと仲よくされるくらいならサプライズなんていらない、と言ってしまいたかった。けれども純哉の心づかいには感謝しているし、友人に対して嫉妬してしまったのを知られたくないし、だからといって気のきいた返しを思いつくでもなく、結果、視線をさげて黙ることしかできない。
最初のコメントを投稿しよう!