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陽梨自身、他人に言われるまでもなく短所には気づいていたし、直したほうがいいと気をつけてもいた。が、生まれてこのかた十四年間どうにもならなかった性分を変えるのは、なかなか容易なことじゃない。
だからこそ、まるごと受けいれてくれる大翔の寛容が嬉しくて、ありがたかった。嘘をつくのが苦手な彼の言葉だからこそ、すんなりと信じることもできた。
「けど、だったら、そう言いかえしてくれればよかったのに……」
だが、なおも未練がましく恨みごとを口にすると、大翔が一変。
「それは嫌だ。陽梨のいいとこは、俺だけがわかってればいい」
真剣な瞳が陽梨を射ぬく。かと思えば、たちまち大翔は柔らかく相好を崩した。
「ほかのやつらが陽梨のこと好きになったら困るしな」
へらへらと締まりがなくなったり、ふにゃふにゃと情けなくなったり、ぴりっと頼もしくなったり、ほわほわと甘たるくなったり。
万華鏡かと思うほどに変わる大翔を見るたび、陽梨の心臓は、まるで自分のものじゃないみたいに、せわしなく鼓動する。
そうして、とことん、調子がくるいっぱなしになってしまう。
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