1.2 美優

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1.2 美優

「って、そんなの二人きりのときにやってよね!」  昼休み、美優(みゆう)の声が教室中に響きわたる。前日のできごとを親友の恵茉(えま)に報告してのことだ。  たまたま陽梨と大翔のうしろを歩き、二人の仲むつまじさを余すところなく目のあたりにしたのは、美優にしてみれば災難以外のなにものでもなかった。しかも隣のクラスで接点もないため「よそでやれ!」などと気軽に言える間柄でもない。  その点、さきほどから相槌をうっている恵茉は十年来の幼なじみで、なんでも遠慮なく話すことができる。愚痴だってこぼしたくなるものだ。 「で、美優はどうなの。進展してる?」  優秀な聞き役が、頃あいをみて声をひそめた。美優も、ぐっと身をかがめる。 「それがさぁ……」
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