秀介 お姫様に出会うまで

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秀介 お姫様に出会うまで

東京から新幹線で行き来ができる程度の地方都市で生まれた俺は、中高それなりに勉強も出来ていたし、そこそこなイケメンだったからモテる方だったと思う。 割と彼女が途切れないのだが、だいたい向こうから告白して来て付き合うのに「優しくない」とか「思っていたのと違った」とか言われて去られるの繰り返しだった。 ただ好意を寄せられてもイメージ先行で本当の俺のことわかっていない女を好きになりきれない俺が悪かったのだろうか。 高1の時に付き合った彼女と早々に童貞を卒業してからは、次から次へと変わる彼女とそれなりにやる事はしていた。 悪友からは回転寿司と変なあだ名をつけられたが、その時に付き合っている彼女としかしない…つまり浮気はしないから、まぁいいか…くらいの感覚だったと思う。 東京のそれなりに有名な私大に入学してからも授業と適度に遊べるスポーツサークルとバイトの中でなんとなく気の合う子と付き合って来たが、俺の口の悪さのせいか素っ気ない態度のせいか長続きしないのは、相変わらずだった。 そんな俺も大学4年になり、何社か内定を貰った中で高階商事を選んだのは、業務内容もあるが単に一番最初に内定を出した会社だったから。 大手だし給料もそこそこいいし、先輩の話だとブラックじゃない。 早く決まったから卒論に集中して、あとは友達と残り少ない学生生活を満喫しよう。 本当にその程度だった。 その時期になるとあまり女の子から誘われる事もなくなり、気楽に連める男同士で出かける事が増えたが、そいつらも卒業すると配属先もバラバラで会う事もなくなってしまった。
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