870人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、軽かったつわりの時期が、家庭学習と春休みに当たったこともあり、私は普通に高校卒業式と大学の入学式を迎えることが出来た。
卒業式はちゃっかりママの横で保護者ヅラしていた秀介は入学式にもついて来たがったが、さすがに年度始めは忙しく、宙くんに私の写真を撮って来るようにお願い?命令?していた。
「いいか、一叶が入学式の看板の横に立った全身のものとバストショット、校舎をバックに…とにかく撮り次第データを送ったら、スマホの写真は削除な。宙の事は信用しているが、万が一流出なんてさせたら…わかっているよな。」
「ほら秀介は仕事に行かないと。」
迎えに来てくれた宙くんと晴香さんを前に玄関先で騒いでいる秀介を仕事に送り出す。
「秀介さん、同じ写真、一誠さんと香子さんには送ってもいいよね。」
宙くんの問いかけに出かけようとしていた秀介の足が止まる。
「か、一誠か…どうしようか。」
いや、パパは普通OKの範囲内だよね。
秀介を見送ってから、さすがに今日は車を停められないだろうからと晴香さんちのと言うか奏さんの運転手さん付きの車で大学に向かう。
スーツ姿の新入生が多い中、私はふんわりしたワンピースとぺったんこの靴にした。
私を知らない人たちには、みんなより幼い印象だったらしく宙くんの妹が入学式について来たのかと思われたらしい。
最初のコメントを投稿しよう!