みみたぶ

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みみたぶ

 たっくんの耳は、おモチみたいにもちもちしている、りっぱな福耳だ。  だけど、たっくんは自分の耳たぶがキライだった。ママやみんなはたっくんの耳を「幸せのあかしの福耳」だっていうけれど、たっくんは運動も勉強も、いつもクラスのビリ。片思いしているルミちゃんに、話しかける勇気もない。 「ふくみみなのに、おかしいなあ。もっと大きくなればいいのかなあ」  たっくんは、とうとう小学校のとなりの神社にとびこんだ。さいせん箱へ十円ほうり投げると、手を合わせて 「どうか、耳たぶを大きくしてください。」  と、お願いした。  翌朝。たっくんは鏡の前でびっくりした。 「耳たぶが大きくなっている!」  なんとふたつの耳たぶがあごまで伸びていたのだ。 「きっと、神さまがお願いを聞いてくれたんだ」  たっくんは、とびあがって喜んだ。
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